土地家屋調査士を目指すなら知っておきたいCADとは?

「土地家屋調査士の仕事にはCADが必要?」
「CADにはどんな種類がある?」
「CAD以外に土地家屋調査士の仕事に必要な機材は?」
土地家屋調査士の仕事に欠かせないCADについて、このような疑問をお持ちではないでしょうか。
土地家屋調査士の業務に必要なCADには使用用途や価格帯によってさまざまな種類があり、これから仕事を始めようとする方にとってはどのCADを選べばよいか迷ってしまうかもしれません。
本記事では、CADの種類や特徴、そのほか土地家屋調査士の業務に必要な機材などについて紹介します。

CADとは

CADとは「コンピューター支援設計(Computer Aided Design)」を指し、土地家屋調査士が測量や建築を行う際にデータを処理するために利用するソフトウェアです。
コンピューターが普及するまでの以前では手書きで行われていた図面設計や情報管理は現在ではCAD1つで設計からデータ処理までの動作を一度に行えます。
CADとして多くの現場で用いられているのが「BLUETREND」「WingNeo」の2つです。
BLUETRENDは多種類の計算機能を備えているためあらゆる設計場面において便利に使うことが可能で、測量業務だけでなくデータの収集・保存・活用・シェアまで、測量業務に関わるほぼすべての作業を一括で行える利点があります。
一方でWingNeoは、事務所内のすべての測量データを瞬時に共有できるサーバー機能、測量現場と事務所間で簡単に情報共有ができるモバイル型機能など、土地家屋調査士の実務に活用可能で便利な機能が1つのソフトに集約されている特徴があります。
土地家屋調査士の仕事に必要不可欠なCADですが、価格はソフトによって安価なものから100万円以上の高価なものまであり、用途や予算によって適切なソフトを選ぶ必要があります。
この際、中古ソフトとして使用済みソフトを売り出すことや、フリマアプリなどを通じて中古CADを売買することは禁止されているため、必ず正規品を購入しましょう。

こちらの記事では、土地家屋調査士が作成する測量図について、特徴や入手方法、作業の流れについて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
【種類ごとに解説】土地家屋調査士が作成する測量図とは?

CADの種類

CADは用途によって「汎用」「建築用」「機械用」などさまざまな種類があります。
事務所が請け負う案件の種類や作業を効率化するために必要な機材について事前に洗い出し、必要な機能を備えたCADを揃えましょう。

汎用CAD

汎用CADとは、全般的な業務に活用可能な機能が幅広く備わったオールマイティなCADです。
特化分野がないため専門的な業務に活用できない場面もありますが、大抵の業務において使用可能な点において、はじめに導入するには利便性が高いソフトといえるでしょう。

建築用CAD

建築業務に特化した建築用CADは、基本となる設計図から平面図、構造図、設備図など、建物の設計に必要な図面作成に対し柔軟に活用できます。
ソフトによっては梁や壁の位置を図面に設定でき、設計業務を効率化するためのあらゆる機能が備わっている点において、建築業務に強いソフトといえます。
建築用CADにはデータの種類によって「2DCAD」「3DCAD」の2種類があります。
2DCADは平面図形上において土地や不動産の現況をデータ化し、手書き処理では行えない繰り返しの修正機能を備えた、今や図面設計に欠かせないCADです。
また3DCADは2DCADで作成した平面データを3Dデータに変換することで立体的な図面として設計図を作成・構築し、誰もが脳内で想像しやすい3次元の設計図として情報を保存します。

機械用CAD(メカCAD)

緻密な設計作業が必要な機械の設計に便利なのが機械用CADです。
現代では誰にとっても手軽になったスマートフォンは小さい容量のなかに無数の電子設計を施す必要がありますが、飛行機のような大規模な製品の設計から小型電子機器の設計まで幅広く対応可能な機械用CADを活用すれば効率よく、かつ繊細な設計業務を行えます。

システムCAD

遠近法を活用し見たままの景色を平面図に起こした2D・3Dパース図面を製図するのに便利なのがシステムCADです。
おもに住宅やオフィスの設計など、デザインやビジュアルを重視しながら機能面にも優れた設計をする場面で重宝するCADといえます。

BIM(ビム:Building Information Modeling)

BIMとは建物を設計する際に実際の設計の様子を3Dの電子図面に起こすことが可能なCADで、1つのデータに設置物の幅や奥行き、必要な工数まで、建築に関するすべての情報を集約できます。
設置する設備のメーカーや品番まで詳細に登録可能なため、外部に建築資材を発注する際にも便利です。

CAD以外に土地家屋調査士が使う道具の例

ここまで、土地家屋調査士の業務に必要不可欠なCADについて、CADの種類や種類ごとの使い方、CADの選び方などについて紹介しました。
土地家屋調査士の業務には、CAD以外にも情報処理・測量に必要な機材があります。
ここからは、CAD以外に土地家屋調査士が使う道具の例について紹介します。

PCソフト

多くのデータをオンライン上で管理する現代では、土地家屋調査士の業務にもPCで使用するソフトウェアが欠かせません。
土地家屋調査士の仕事にはどのようなソフトウェアが必要なのか。
土地家屋調査士が使用するPCソフトについて、それぞれ紹介します。

申請書、調査報告書作成ソフト

申請書や調査報告書を取り扱う際に使用するPCソフトには数多くの種類があり、使用用途や個人の使いやすさによって適切なソフトを選ぶ必要があります。
初心者でどのソフトを選べばよいかわからない場合には、土地家屋調査士を統括する土地家屋調査士会が推奨するソフトを選ぶとよいでしょう。

PDF編集ソフト

PDFとは、簡単に説明するとどの端末で表示したときにも全く同じ表示形式でデータを表示できるデータ形式のことで、ドキュメントや数式シートファイルをPDFとして保存することで個人のパソコンで処理を行うと別のパソコンで表示したとき形式が異なるかたちで表示されるといった状況を防げます。
一度PDF形式で出力されたデータはパスワードによって保護され、第三者が編集不可のかたちで保存されます。
その際、データ化された書面の一部を編集したり削除したりする場合に役立つのがPDF編集ソフトです。

会計ソフト

お金の動きを把握・管理するために必要なのが会計ソフトです。
会計ソフトがあれば出金・送金・振替・売掛といった細かなお金の動きを一括で管理でき、状況を確認したり今後の収支を検討したりする際に便利です。

測量機材

土地家屋調査士の業務のうち大きな割合を占める測量には、専門機材を用意する必要があります。
今回は、土地家屋調査士の業務に必要な測量機材のうち5つを紹介します。

トータルステーション

トータルステーションとは、距離を計測する「EDM(光波距離計)」と角度を計測する「セオドライト」が組み合わさった機材のことです。
距離測定と角度測定が同時に行えるため、面積を計測したり図面を作成したりする際に便利です。

GNSS受信機

GNSSとは「Global Navigation Satelite System(全球測位衛星システム)」の略称で、衛星システムから信号を受信することで正確な現在地を測定する機材です。

UAVドローン

人が立ち入れないような複雑な地形の土地の測量に役立つのが、UAVドローンです。
ドローンで計測したデータと専用のアプリ・ソフトを併用することで座標付きの空中写真とCADで作成した図面を重ねながら詳細な計測を行えるようになります。

電子平板

電子平板とは土地の測量で用いられる小型コンピューターのことで、トータルステーションと接続することで計測結果を電子平板に表示させたり、現地の測量と同時並行で平面図の作成ができたりする利点があります。

電子レベル・スタッフ・巻尺

標高をより正確に測定するのに必要なのが「電子レベル」で、細かな場所の長さを計測するのに持っておきたいのが「スタッフ(長い金属製の定規のようなもの)」「巻尺」です。
トータルステーションやUAVドローンで大まかに把握した距離や長さを現地の状況から再確認する際などに必要です。

その他

ここまで紹介した機材以外にも、土地家屋調査士の仕事では長距離移動が頻繁にあるため、現場用車両の用意が必要であるほか、図面の印刷に必要な大判プリンター、土地の現況を保管しておくために必要なカメラなど、おもに測量業務を行うなかで必要な機材についても確認が必要です。

土地家屋調査士の仕事に欠かせないCAD

土地家屋調査士の仕事に必要不可欠なのがCADです。
CADは使用用途や価格帯によって数多くの種類が存在するため、事務所の予算状況や仕事の種類などによって適切なものを選ぶことが重要です。
また、CAD以外にもPCソフトや測量機材など、仕事を始めるまでに揃えておくべき機材について事前に把握しておくことが大切です。
これから土地家屋調査士の仕事を始めるという方は、必要な機材について十分に把握したうえで予算と相談しながら機材や持ち物を揃えましょう。

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