土地家屋調査士試験の願書の出し方は?合格率や対策も紹介

土地家屋調査士の試験を受けるなら、きちんと段取りする必要があります。試験を受けるには期限内に願書を提出しなければならないため、出し忘れのないようにしましょう。ギリギリになって準備をはじめてしまっては、提出期限を逃したり試験内容を十分確認できなかったりするおそれがあります。
土地家屋調査士の試験は年に1回しかないので、万全の体制で挑めるように準備しておきましょう。
本記事では、土地家屋調査士試験の願書の出し方や合格率、対策について解説します。

2024年度の試験日

2024年度の土地家屋調査士試験日は、記述試験が2024年10月20日(日)、口述試験が2025年1月23日(木)です。
土地家屋調査士試験に関するスケジュールは以下をご覧ください。

2024年7月 受験の案内
2024年7月29日(月)~8月4日(金) 願書受付期間
2024年10月20日(日) 土地家屋調査士筆記試験
2025年1月8日(水)午後4時 筆記試験の合格発表
2025年1月23日(木) 口述試験
2025年2月14日(金)午後4時 最終合格者の発表

なお土地家屋調査士試験会場は、以下の9ヶ所のみです。

  • 東京
  • 大阪
  • 名古屋
  • 広島
  • 福岡
  • 那覇
  • 仙台
  • 札幌
  • 高松

もし那覇で受験する場合は、試験会場の変更についても把握しておいてください。那覇では口述試験を受けられないため、筆記試験は福岡の会場で受けます。

受験資格

土地家屋調査士試験には、どのような受験資格が設けられているのでしょうか。受験資格の要項には年齢、性別、学歴などの制約はありません。実務経験がなくても受験できるので、誰でも受験資格があります。期限内に願書を提出すれば受験可能のため、早めに準備することが重要です。

土地家屋調査士試験の願書の出し方

土地家屋調査士試験の願書の出し方は、郵送と窓口の2パターンです。

なお、願書を提出すると後から受験地を変更することはできないので、提出前にもう一度確認するようにしましょう。ただし、災害によって公共交通機関が停止した場合は、受験地を変更できる場合があります。詳しくは、法務省ホームページをご確認ください。

郵送

郵送で必要書類を提出する場合は、筆記試験の受験地を管轄する法務局または地方法務局の総務課宛になります。郵送する際は、原則書留郵便です。そのため郵送用や返送用の切手とは別に、簡易書留用の切手を購入します。用意するものや手順については、以下を参考にしてください。

【用意するもの】

  • 受験申請書 1枚
  • A4封筒(角形1号)1枚
  • 5×5cmの証明写真を1枚
  • 手数料 8,300円
  • 切手代 523円(郵送用140円、簡易書留320円、返送用63円
  • 赤いボールペン

【手順】

  1. 受験申請書をもらう
  2. 郵便局で印紙や切手を買う
  3. 申請書を記入して封筒に入れる
  4. 封筒に氏名や記入し、返信用封筒を同封したら投函する

なお、申請書類を同封した封筒の表側には「土地家屋調査士受験」と記載しましょう。

窓口

窓口に申請書類を持参する場合は、筆記試験の受験地に対応した法務局または地方法務局の総務課に足を運びます。提出する際は、筆記試験の受験票に受験者の郵便番号・住所・氏名を記載して63円分の郵便切手を貼りましょう。具体的に用意するものや手順については、以下を参考にしてください。

【用意するもの】

  • 5×5cmの証明写真を1枚
  • 手数料 8,300円
  • 郵便切手 63円(那覇地方法務局は除く)
  • 午前試験免除を証する書面(持っている場合のみ)

【手順】

  1. 法務局(東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松・那覇)に行く
  2. 受験申請書をもらう
  3. 手数料分の印紙を購入する
  4. 申請書を書く
  5. 提出する

手数料分の印紙は、法務局内にある印紙売場で購入できます。8300円分の印紙をくださいと伝えれば8000円と300円の印紙を出してくれます。

土地家屋調査士試験の内容

ここでは、土地家屋調査士試験の内容について詳しく解説します。詳細を知っておくと試験当日に慌てずにすむので、しっかり確認しておきましょう。

試験の科目

土地家屋調査士試験の科目については、以下をご覧ください。

択一式
  • 民法
  • 不動産登記法
  • 土地家屋調査士法
記述式【土地】
  • 計算(座標、辺長、面積)
  • 論述
  • 申請書
  • 作図(地積測量図)
記述式【建物】
  • 計算(面積)
  • 論述
  • 申請書
  • 作図(地積測量図)

出題の形式

土地家屋調査士試験の出題形式は、「筆記試験」と「口述試験」の2つです。それぞれの内容について見ていきましょう。

筆記試験

筆記試験の出題形式は、多肢択一式(マークシート)と記述式です。なお、測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士などの資格を有する者は、午前の部(測量)の試験は免除されます。

午前/午後 試験時間 出題形式 出題数
午前の部

【測量科目】

午前9時30分~11時30分 多肢択一式

(マークシート)

10問
記述式 1問
午後の部

【民法、登記申請手続・審査請求手続、筆界、その他】

午後1時~3時30分 多肢択一式

(マークシート)

20問
記述式 2問

口述試験

口述試験では、15〜20分程度の面接が行われます。面接内容は主に土地家屋調査士の業務に必要な知識です。筆記試験対策として勉強したことが問われるので、理解力を深めておけばスムーズに解答できるでしょう。ただし、筆記試験に合格しないと口述試験は受けられないので、まずは筆記試験の合格を目指して対策しましょう。

合格率

土地家屋調査士試験は難易度が高い傾向にあります。過去5年の合格推移を見ても、合格者数が約400名、合格率に表すと10%程度です。

年度 受験者数 合格者 合格率
令和元年 4,198人 406人 9.68%
令和2年 3,785人 392人 10.36%
令和3年 3,859人 404人 10.47%
令和4年 4,404人 424人 9.62%
令和5年 4,429人 428人 9.66%

土地家屋調査士は狭き道の世界なので、根気強く勉強する必要があります。

こちらの記事では、土地家屋調査士試験の合格率を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
土地家屋調査士試験の合格率は?試験の内容や対策も紹介

土地家屋調査士試験の勉強時間

合格率を見ると、かなり勉強しないと合格は難しいということがわかりました。では実際に土地家屋調査士試験に合格するためには、どれくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。

個人差はありますが、目安として1,000時間程度は必要とされています。年月にすると1〜2年かかるため、毎日の勉強が欠かせません。本業をしながら勉強する時間を確保するとなれば、時間の使い方についても考えなければならないでしょう。土地家屋調査士試験に合格するためにも、計画的に勉強に励む必要があります。

独学では限界があるので、通信教育や予備校を利用するのもおすすめです。教えてくれる人がいれば難しい内容を理解しやすくなり、課題を克服しやすくなります。効率的な学び方もできるため、選択肢の一つに入れるとよいでしょう。

土地家屋調査士試験の対策

何に注意して勉強すればよいのかわからない人に向けて、ここでは土地家屋調査士試験の対策について3つのポイントを解説します。

不動産登記法を中心に勉強する

まずは、不動産登記法を中心に勉強しましょう。不動産登記法は多肢択一式の配点の80%を占めているため、ここを熟知しておけば点数を稼ぎやすくなります。記述試験を解くときに必要な知識も不動産登記法に関係しているので、勉強して損はない分野といえます。記述試験は暗記では乗り越えられず、理解や全体の流れを把握しないと正解はしないでしょう。不動産登記法の問題で点数をとるには、理解力を深めるのがコツです。

多肢択一式の問題に注力する

土地家屋調査士試験には、多肢択一式と記述式の試験があります。どちらにも基準点(足切り点)があるだけではなく、両方の点数を足した点数が合格点に達していないと合格にはなりません。記述式を回答するには暗記だけでは太刀打ちできないため、多肢択一式の問題に注力して理解を深めていきましょう。理解力が高まれば正しい答えを導きやすくなります。記述式がギリギリ基準点を超えても、多肢択一式で高得点をとれば合格点に達する可能性が高くなります。

記述式の問題を解く道具の使い方を身につける

記述式では、計算機や定規を使って解答する問題があります。しかし、正しく道具を使えないと、正確に計算や図面を作成できません。ここを解答しなければ基準点を満たせない場合があります。点数を確保するためにも、答案を書ききることが重要です。道具の使い方は現場に出てからでも役に立つことなので、試験勉強中に正しい使い方を身につけましょう

試験の合格後の流れ

ここでは、土地家屋調査士試験に合格した後の流れについて解説します。

土地家屋調査士名簿に登録する

土地家屋調査士試験に合格したら土地家屋調査士として仕事ができると思っている人もいるでしょう。合格しただけでは土地家屋調査士として名乗ることはできず、専門的な仕事もできません。土地家屋調査士としてやっていくには、日本土地家屋調査士会連合会の土地家屋調査士名簿への登録が必要です。登録には、25,000円を日本土地家屋調査士会連合会に納付する義務があります。登録条件は試験合格のため、実務経験がなくても登録は可能です。

ただし、以下のケースに該当しない場合は登録が認められないので注意しましょう。

  • 独立起業して土地家屋調査士として仕事をする
  • 土地家屋調査士法人に従業員として就職する

つまり、土地家屋調査士として仕事をする予定がない人は登録を認められないのです。

事業所で経験を積む

土地家屋調査士名簿に登録したら、晴れて土地家屋調査士として仕事ができます。しかし、いざ1人で仕事を請け負うのはおすすめできません。実務経験のないままいきなり土地家屋調査士の仕事をすると、専門性の高さに心が折れてしまうことがあるかもしれないからです。未経験であっても顧客はプロとして頼ってくるため、無責任に対応することはできません。

まずは経験を積むために、資格を活かせる土地家屋調査士法人や関連企業に就職しましょう。ここでは、土地家屋調査士としての業務経験を積めるため、将来独立したいと考えている人にもおすすめです。努力が認められれば仕事の幅も広がり、不動産の登記や測量を任せてもらえます。経験を積めば自信にもつながり、独立後も顧客を安心させられる土地家屋調査士になるでしょう。そのためにも、まずは事業所で一定期間働き、経験を積むことをおすすめします。

土地家屋調査士試験の願書は期限内に提出しよう

土地家屋調査士試験は年に1回しか行われないため、願書の提出期限はしっかり確認しましょう。同時に試験内容についても把握して、学習計画を練ることをおすすめします。合格率の低い資格のため、独学では限界が来るかもしれません。そんなときは通信講座や予備校の利用も視野に入れるとよいでしょう。

当サイトでは、おすすめの土地調査士の予備校をランキング形式で紹介しています。土地家屋調査士の資格取得を目指している人で予備校を利用しようか迷っている場合は、ぜひチェックしてみてください。