土地家屋調査士試験の内容と勉強のコツ

土地や建物の境界を確認し、不動産登記に関わる手続きをサポートする専門家が「土地家屋調査士」です。その試験は法律知識から測量の技能まで幅広い範囲をカバーし、合格率も一桁台と決して易しくはありません。

しかし、独自の勉強法や必要な教材を押さえれば、独学やスクール利用でも合格が見えてくる可能性があります。特に30代から50代の社会人が、新たなキャリアステップを求めて土地家屋調査士を目指すケースも増えているようです。

本記事では、土地家屋調査士試験の詳細な内容や合格までの流れをわかりやすく整理し、効果的な学習ポイントを紹介します。

受験資格や試験科目ごとの特徴、口述試験の注意点、そして過去の合格率の推移といったデータも扱いながら、学習方法を導くヒントをご提供します。

土地家屋調査士試験の内容

まずは土地家屋調査士の試験とはどのようなものなのか。

受験資格や試験内容など、網羅的に解説していきます。

受験資格

土地家屋調査士試験には特別な資格や学歴は定められていません。年齢や実務経験などの要件がなく、どなたでも出願が可能です。一方で試験範囲は法律知識から測量技術まで多岐にわたるため、自己学習に一定の時間を割ける環境が望ましいです。

実際の登録には、筆記・口述の両試験合格後に実務修習や登録申請などの手続きがありますが、試験そのものはどのような学歴や経歴でも挑戦できます。

試験科目

土地家屋調査士試験は、主に筆記試験と口述試験から構成されます。筆記試験では不動産登記法や民法などの法律科目と、測量に関する実技的要素(計算問題や図面作成など)を含む内容が出題されます。

一方の口述試験は筆記試験合格者のみが受験可能で、主に実務的な応対力や法的知識の理解度などを確認する形となります。試験範囲は法務省が提示する詳細な規定に基づき、登記法規、民法、都市計画法など多岐にわたるため、学習計画を綿密に立てることが欠かせません。

筆記試験

筆記試験は大きく「午前の部」と「午後の部」に分かれるケースが多いです。午前では択一式問題が中心で、法律(不動産登記法、民法、行政法規など)の基本知識を問う形式が出題されます。

午後は書式や図面作成に関わる実技的問題がメインで、測量の結果から図面を仕上げたり法的根拠を踏まえて処理を行ったりする能力が試されます。高得点を狙うには、択一と書式の両面でバランスよく学習することが大切です。

口述試験

口述試験は筆記試験合格者のみが受ける二次試験にあたります。面接形式で法的な知識の運用や倫理観などを中心に問われます。

具体的には「登記申請の手続きをどのように進めるか」「トラブルの際にどんな対応をとるか」など、実務を想定した質問に答える形です。筆記試験の内容を単に暗記しただけでは対応が難しく、実際の運用や事例を踏まえた理解と応答スキルが求められます。

日程・タイムスケジュール

例年、土地家屋調査士試験の筆記試験は秋頃(10月前後)に行われ、合格発表は年末頃に実施されることが多いです。翌年の年明けに口述試験が行われ、最終的な合格発表は2~3月頃となるスケジュールが一般的です。

ただし年度によって変更があるため、法務省や試験実施機関の公示を必ず確認し、出願から受験までの手続きを確実に行う必要があります。出願期間は比較的短いため、日程を早めに把握してスケジューリングするのが大切です。

土地家屋調査士試験の難易度

土地家屋調査士試験は国家資格の中でも比較的難関とされており、例年の合格率はおおむね8~10%程度で推移していると言われます。

ただ、実際の難易度は受験生のバックグラウンドや学習時間に大きく左右され、初学者が独学で挑む場合にはより低い合格率になりがちです。

以下に一例として、過去数年の合格率推移を簡単にまとめます。

年度 

受験者数 

合格者数 

合格率 

令和6年度 

4,589 

505 

11.00% 

令和5年度 

4,429 

428 

9.66% 

令和4年度 

4,404 

424 

9.62% 

令和3年度 

3,859 

404 

10.47% 

令和2年度 

3,785 

392 

10.36% 

令和元年度 

4,198 

406 

9.68% 

平成30年度 

4,380 

418 

9.54% 

平成29年度 

4,600 

400 

8.69% 

 

このようにおおむね一桁台後半から10%前後で推移しています。合格に必要な得点ラインは年度や問題の難易度によって多少変動がありますが、卓越(択一)と書式両方で一定水準以上の点数を取ることが求められます。

学習範囲が広く、記述式対策も必要なので、時間的・精神的負担は大きいと言えます。

土地家屋調査士試験の対策

合格するためには、基本的な法律知識の習得から実践的な書式演習まで幅広い対策が必要です。

合格率が低いとはいえ、正しい学習法と十分な練習を行えば合格を勝ち取ることは十分可能とされています。

基礎的な知識を身につける

まずは不動産登記法や民法をはじめとした基本的な法律知識をしっかり固めます。特に不動産登記法は法律条文の数が多く、それぞれの手続き要件を理解していないと書式問題で混乱しやすいです。

基礎段階ではテキストを通読し、要点をノートにまとめるなど地道な暗記作業を怠らないことが大切です。また、測量法や数理的処理も加わるため、高校数学程度の計算力も身につけましょう。

解法を学ぶ

記述式の問題は法律条文に加えて実務の流れを踏まえた“解法”が存在します。例えば登記申請書を作成する際の書式手順や、測量計算で座標を求めるプロセスなどは、過去問を通じてパターンを把握し、再現できるようになることが重要です。

体系的な指導を受けたい人は通信講座や通学スクールを利用し、ベテラン講師の解説を聞くと効率的に身につきます。

過去問を解く

試験対策では過去問演習が極めて有効です。出題の傾向や頻出論点を把握し、時間配分や記述の書き方を体得するために、過去数年分は必ず一通り解いておきましょう。初見では解けない問題が多いかもしれませんが、解説を読み理解を深めることで、同種問題が出た際にスムーズに対応できるようになります。

過去問演習時は、実際の試験時間を意識して本番さながらに解き、自己採点やミスの分析まで行うと効果が高いです。

土地家屋調査士の試験内容を把握して合格を勝ち取ろう

土地家屋調査士試験は法律・測量の両面で高度な知識を要求される国家資格ですが、社会人の方が新たな専門職として挑戦する価値の高い資格ともいえます。筆記試験では択一問題と書式(実技)をクリアし、さらに口述試験を突破しなければならないため、きめ細やかな対策が欠かせません。

まずは基礎知識を丁寧に固め、過去問を用いた演習を繰り返しながら解法パターンを体得し、記述式でも安定して点数を取れるように練習することがポイントとなります。

口述試験に向けては、実務を想定した質疑応答で法的根拠を適切に述べられるかを確認しましょう。 難易度は低くありませんが、合格率が一桁台と聞いても正しい学習計画を立てれば合格を狙えます。通信講座やスクールを活用するのも一つの手であり、忙しい社会人でも効率的に学べるカリキュラムが増えてきています。

ぜひ、自身のライフスタイルや得意分野に合わせた学習スタイルを選び、継続的に努力を重ねることで土地家屋調査士の合格を目指してください。