土地家屋調査士試験の勉強方法は?作図問題も解説

土地家屋調査士試験の対策に欠かせない学習資料や、効率的な学習スケジュール、キーポイントを押さえた科目別の学習法をご紹介します。
自分に合った勉強方法の選び方や、試験の要点なども幅広く解説しているので、土地家屋調査士を目指している方はぜひご参考ください。

事前に準備すべき勉強で必要なもの

あらゆる専門職業において、基礎となる知識や技能の習得は成功への第一歩です。土地家屋調査士やその補助者を目指す場合、専門性が高く、細かい知識が求められます。事前にしっかりとした勉強計画を立て、必要な学習資料やツールを準備することが重要です。
ここでは、土地家屋調査士の資格取得や補助者としての業務遂行に向けて、事前に準備すべき勉強で必要なものをお伝えします。

必要な道具

土地家屋調査士試験の勉強を進めるには、必要な道具がいくつかあります。

  • 登記六法
  • 関数電卓
  • 製図用三角定規
  • 全円分度器
  • 三角スケール
  • 製図用コンパス
  • 黒インクのボールペン
  • シャープペンシル/鉛筆
  • ラインマーカー、色鉛筆

登記六法は試験への持ち込みはできませんが、試験勉強をするうえで必ず必要になります。関数電卓は試験への持ち込みは可能ですが、使用できる電卓の種類・台数に制限があります。詳しくは、法務省から発表されている土地家屋調査士試験受験案内書を確認してください。
三角定規、分度器、三角スケールはそれぞれいくつかの種類がありますが、土地家屋調査士に適した規定のものを選びましょう。

また、各筆記用具に明確な指定はありませんが、いずれも書きやすいものを選ぶことがポイントです。自分にとって使いやすいものを事前に確認しておくことをおすすめします。

事前学習

資格受験対策通信講座の調査によると、試験の合格には少なくとも1000時間の学習が必要とされています。一夜漬けや短期間の学習では不十分であり、試験の準備には時間的な余裕を持つことが重要です。
また、試験では法律の基本知識から専門技術まで、広い範囲にわたる学習が求められます。

土地家屋調査士試験の勉強するべき順番

高度な専門資格を目指す上で、効率的かつ効果的に学習を進めるための正しい勉強順序の理解は極めて重要です。試験範囲が広く多岐にわたるため、どの科目から手をつけ、どのように知識を組み立てていくかが、成功への鍵となります。

以下に、おすすめする勉強の順序とその理由を解説します。

  1. 択一式「民法」
  2. 択一式「不動産登記法」
  3. 択一式「土地家屋調査士法」
  4. 択一式「過去問演習」
  5. 記述式「計算」「作図」の練習

それぞれ解説します。

1.択一式「民法」

択一式の「民法」は、土地家屋調査士試験の最初に取り組む科目です。民法を学ぶことは、条文を記憶すること以上に、実際のケースに法律をどう適用するかを学ぶことにあります。
実務で遭遇する可能性のあるさまざまなシナリオに対処するための準備として、ケーススタディを活用することをおすすめします。
このアプローチにより、未経験者でも転職を目指す際に必要な法律知識を身につけ、土地家屋調査士としてのキャリアを築くための基礎を固めることができます。

こちらの記事では、土地家屋調査士試験の民法について、効果的な勉強法を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
土地家屋調査士試験の鬼門「民法」の攻略法

2.択一式「不動産登記法」

択一式の「不動産登記法」は、土地家屋調査士試験の重要となる科目です。この科目では、不動産登記の法的枠組みや手続き、登記の種類とその効果について学びます。
不動産の所有権変更や抵当権設定などの登記手続きを理解することは、実務に直結するため、試験の準備だけでなく、将来の業務においても重要です。範囲が広く時間を要するため、民法の学習が一段落したら、すぐに着手することをおすすめします。

3.択一式「土地家屋調査士法」

択一式の「土地家屋調査士法」の学習は、試験準備の過程で比較的迅速に進めることが可能です。この科目は、土地家屋調査士としての職務、権利、義務、さらには業務実施に関する法的基準を総合的に扱い、職業倫理と法律に則った行動基準の理解を促進します。
範囲が狭いため、他の科目の学習と並行して、または早期に完了させることで、択一式の過去問題を広い範囲にわたって解く準備が整います。

4.択一式「過去問演習」

択一式の過去問演習に着手することで、試験の形式や出題傾向を理解し、自分の知識不足を明確に把握できます。
過去問を解いていく過程で分からない点があったら、その都度テキストを確認することが重要です。この工程を繰り返すことで知識を深められるだけでなく、実際の試験での時間管理や、問題解決能力を養うことが可能になります。

5.記述式「計算」「作図」の練習

記述式の「計算」と「作図」の練習は、土地家屋調査士試験対策において非常に重要です。具体的な計算と作図能力の向上を目指すことで、受験者は試験だけでなく、将来の実務においても必要な技術的精度とスピードを身につけられます。
土地と建物の問題をバランスよく練習することが重要です。理想的には、毎日少なくとも一問ずつ、両方のタイプの問題に取り組むことをおすすめします。過去問演習においては、最新の問題から始めて徐々に過去のものへと遡っていくことで、試験の最新の傾向と対策を把握できます。
また、建物の問題では、普通建物と区分建物の違いを明確に理解しておくことがポイントです。

各問題を解く際のポイント

土地家屋調査士試験を戦略的に攻略するためには、各科目の特性を理解し、それに応じた解答テクニックを駆使することが重要です。科目ごとに異なるアプローチが必要となり、効率よく正確な答えを導くためのポイントが存在します。
以下に、主要な科目ごとの解答ポイントと、それを活かすための勉強方法を解説します。

  • ポイント①択一式「民法」
  • ポイント②択一式「不動産登記法」
  • ポイント③択一式「土地家屋調査士法」
  • ポイント④記述式「土地」
  • ポイント⑤記述式「建物」

それぞれの科目で注意すべき点や、有効な勉強法について詳しく説明します。

ポイント①択一式「民法」

択一式「民法」で高得点を獲得する鍵は、登場する人物の関係性とその状況を正確に理解することにあります。誰がどのように関わっているのか、そしてその法律的な立場は何かを把握することで、問題の本質が見えてきます。
これには条文の深い理解と、それを実際の生活や法律問題に適用する能力が必要です。問題文を慎重に読み解くことで、「この問題が何を聞いているのか」を見極め、正しい答えへと導かれます。

ポイント②択一式「不動産登記法」

択一式「不動産登記法」の理解を深めるには、登記手続きとその法的効果の正確な把握が欠かせません。この科目は、動作や条件を示す「〜できる」「〜できない」「〜しなければならない」「要らない」といった表現が多く使われ、正誤判定の基準が明確です。

一度概念を理解しておけば、問題を解く際に比較的難なくクリアできます。継続的な学習と繰り返し演習を通じて、不動産登記法の独自の概念を身に付けましょう。

ポイント③択一式「土地家屋調査士法」

択一式「土地家屋調査士法」の学習では、自分が直接関わる業務として内容を捉えることが理解を深めるコツです。業務規定や懲戒処分など、自分に適用されると想定すると、情報が頭に残りやすくなります。

また、土地家屋調査士会や土地家屋調査士会連合会の業務内容についても、将来的に自分がその一員となることをイメージすることで、学習へのモチベーションが高まるでしょう。

ポイント④記述式「土地」

記述式「土地」問題の解法では、素早く正確な計算、事例の正しい理解、そして正確な地積測量図の作成が重要です。基本的な放射計算や交点計算が中心となりますが、難易度が高い問題にも対応できるように、補正計算や逆計算の練習も必要です。

具体的な事例を覚えておくことで、問題の要求を正しく理解しやすくなるでしょう。また、地積測量図の作成では、計算で得た座標値を問題文に記載し、迅速に図面を描く技術が求められます。

ポイント⑤記述式「建物」

記述式「建物」問題の攻略には、正確な事例把握と建物の形状理解が欠かせません。
初めに、登記の目的と必要な添付書類を把握することで、問題の要求に対する正確な答えを導き出すことができます。
次に、各階の平面図と建物の形状を詳細に理解することが求められます。これには、建築基準法や登記法規に基づく知識が必要です。とくに縮尺が難しい建物図面では、目盛りの読み違えに注意しましょう。

作図図面の基本的な書き方

作図技術は土地家屋調査士試験において高度な技能を必要とし、不動産登記の正確性に直接影響を与える重要な要素です。

以下に、作図を行う際の基本的な手順を解説します。

  1. 準備
  2. 基準線の設定と辺長のマーキング
  3. 横線・縦線の引き方
  4. 敷地形状の詳細化
  5. 清書

①準備
作図開始前には、定規、コンパス、鉛筆といった基本的な道具を準備し、作業スペースが整理されていることを確認します。安定した作業環境が重要です。

②基準線の設定と辺長のマーキング
図面の全体バランスを決める基準線から描き始めます。作図対象の中心や境界を示すこれらの線は、図面の基盤となります。次に、正確な計測と座標値を用いて辺長をマークします。

③横線・縦線の引き方
マークした辺長に基づき、横線と縦線を引いて形状を形成していきます。この段階では、直線や曲線を正確に描く技術が求められます。

④敷地形状の詳細化
敷地や建物の具体的な形状に沿って、細かな線を加えていきます。ここで細部の調整を行い、最終形状に近づけます。

⑤清書
すべての作図作業が完了したら、ボールペンで清書を行い、図面を完成させます。この工程では、鉛筆で描いた線を丁寧になぞり、作図の精度を最終確認します。

これらのステップを丹念に実践することで、未経験者でも転職に有利な土地家屋調査士としての資格を得るための必要な技術を習得できます。

土地家屋調査士試験に向けた勉強スタイルと向いている人の特徴

土地家屋調査士試験の合格を目指す上で、個々の学習スタイルを見極め、それに最適な勉強方法を選択することが重要です。試験の性質上、理論と実践の両方を深く理解する必要があるため、自身の学習傾向を活かしつつ、効率的な対策を立てることが求められます。

ここでは、土地家屋調査士試験に向けた勉強スタイルについて、独学と予備校の二つに分けて解説します。

①独学

独学による土地家屋調査士試験の準備は、自己管理と計画性に長けた人にとって理想的な学習方法です。このアプローチは、時間や場所の制約を受けずに自分の学習ペースで進めることができ、インターネットや書籍などの資料を活用して試験範囲全体をカバーすることが可能です。
予算を抑えたい受験生には、コスト効率の良い学習オプションとして魅力的です。

資格取得に向けた自習経験がある人なら、以前の学習方法や時間管理のテクニックを土地家屋調査士の勉強に応用できるでしょう。

②予備校

予備校での学習は、教育プログラムと専門家による指導を求める受験者に適しています。
学習手法に自信がない初めての受験者や、個人学習の限界を実感している方々に有益です。

また、予備校では実績のある講師から直接指導を受けることができるため、難解な法律の理論を迅速に把握し、試験対策を効果的に進めることができるでしょう。

土地家屋調査士試験の概要

土地家屋調査士試験の受験には、まず願書の提出が必須です。願書は全国の法務局で、毎年7月下旬から8月中旬にかけて配布されます。

試験は筆記試験と口述試験の2段階で行われます。
筆記試験では、平面測量や作図の技術、法律知識が問われます。口述試験は筆記試験を突破した受験者のみが受けられます。口述試験では、コミュニケーション能力や、物事をわかりやすく説明する力が試されます。

土地家屋調査士試験の合格へ、「東京法経学院」があなたを全力サポート!

土地家屋調査士試験の合格は、充実した準備と正確な戦略があれば現実のものとなります。学習ツールの準備から、効果的な学習の順序、科目ごとの攻略法、そして個々に適した学習スタイルの選択に至るまで、「東京法経学院」はあなたの試験対策を徹底的にサポートします。

専門知識と豊富な経験を持つ講師陣による指導のもと、未経験者でも計画的に学習を進め、継続的な努力を重ねることで、転職市場で高い需要を誇る土地家屋調査士の資格取得が目指せます。「東京法経学院」へのご相談をお待ちしています。

当サイトでは土地調査士の資格取得を考えている方のために、おすすめの土地調査士の予備校をランキング形式で紹介しています。
ぜひチェックしてみてください。