難関の土地家屋調査試験!試験内容と対策を解説

土地家屋調査士試験の内容は、範囲が広く勉強が難しいと言われています。専門的な知識も問われると聞いて、「どのような試験内容なのか」と心配になる方も多いでしょう。

今回は、土地家屋調査士の試験について、試験内容や対策、合格率を上げる方法を解説します。

土地家屋調査士試験の難易度は高い!その理由

土地家屋調査士試験は、初めて勉強する方にとっては難易度が高いです。理由は以下の3つ挙げられます。

  • 計算や作図が必要
  • 法律初学者には民法が難関
  • 試験時間が短い

計算や作図が必要

試験内容には、記述式の問題も含まれています。記述式では建物と土地の問題が出題され、回答するために計算や作図が必要です。
計算には、三角関数や複素数の知識が求められます。とはいえ、高度な知識は必要ないので問題はありません。しかし、数学に強くない方は苦手意識を持つ場合も多いです。
また、定規を使っての作図も求められます。複数の図面を、ズレや未記入などがない状態で、時間内に仕上げるための練習が必要です。

法律初学者には民法が難関

法律を学んだことがない方には、試験内容の民法が難関です。
民法は、「総則」、「物権」、「相続」の3分野から、各分野1問ずつ出題されます。難易度としては、法律を学んだ経験のある方にとっては高くありません。しかし、法律初学者にとっては慣れない専門用語も多く、つまずきやすいでしょう。
また、出題範囲が広いうえに過去問の数が少ないことも、民法の勉強が難しい原因として挙げられます。実は民法が試験内容に組み込まれたのは平成16年からのため、過去問の数はまだ少ないです。出題範囲が広く、過去問を参考にしたピンポイントでの対策も立てにくいので、1から勉強しづらい科目となっています。

こちらの記事では、土地家屋調査士試験の民法について、効果的な勉強法を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
土地家屋調査士試験の鬼門「民法」の攻略法

試験時間が短い

土地家屋調査士試験の中でもとくに難しいとされる午後の部は、試験内容のボリュームに対して、時間が2時間30分と短いです。この時間内で、計算や作図が必要な試験内容を全て解かなければいけません。
計算や作図はなるべく時間をかけず、早く正確に行うことが求められます。しかし、計算や作図に慣れていないと難しく感じるでしょう。

土地家屋調査士の難易度は大学ならMARCHレベル

試験の難易度は、大学受験の難易度にたとえるとMARCHレベルです。難易度を他の資格と比較すると、マンション管理士・中小企業診断士・行政書士などと同じくらいとなります。
合格までに必要な勉強時間は1,000時間以上とされており、行政書士と同等くらいの勉強時間が必要です。

土地家屋調査士試験の概要

土地家屋調査士試験は、1年に1回のペースで行われている試験です。まず筆記試験が行われ、筆記試験に合格すると口述試験があります。
筆記試験と口述試験の試験のさらに詳しい概要について、以下の項目に分けて説明します。

  • 受験資格
  • 試験内容・試験日
  • 難易度と合格率

受験資格

試験は誰でも受験できます。特別な資格や、指定の学校の卒業などの条件はありません。
また、年齢・性別・学歴のような制限もありません。
しかし、一定の条件を満たしている場合は試験が免除される制度があります。免除されるのは、筆記試験の「午前の部」の試験です。筆記試験は午前の部と午後の部に分かれており、以下のような条件を満たしていると、午前の部の試験が免除されます。

  • 前年度に行われた土地家屋調査士試験で、筆記試験を合格している
  • 測量士、測量士補、一級建築士もしくは二級建築士の資格を持っている
  • 午前の部の試験を合格した者と同等以上の知識・技能を有する者として、法務大臣に認定されている

試験の免除には、事前に申請が必要です。免除を希望する場合は注意しましょう。

試験内容・試験日

試験内容は、筆記試験と口述試験で異なります。まず筆記試験で問われるのは、以下の内容です。

  • 民法の知識
  • 不動産登記の申請手続や審査請求の手続に関する知識
  • 土地および家屋の調査・測量に関する知識や、作図の能力
  • 民法の知識

筆記試験は1日で行われ、午前の部と午後の部に科目も分けて実施されています。例年、試験日は10月の第3日曜日です。
口述試験は、筆記試験に合格した者にのみ実施されます。口述試験はほぼ全員が合格できるので、とくに対策などは必要ありません。例年、試験日は1月中旬です。

難易度と合格率

難易度に関わるのは筆記試験のみのため、難易度と合格率についても筆記試験を基準として説明します。
土地家屋調査士試験の合格には「一定の点数を取れば合格」といった基準はなく、相対評価で順位をつけ、その上位400名程度を合格とする方式です。近年の試験では、受験者数が減った影響で合格率が高くなりつつあります。しかし、合格率は8〜10%と未だ低いです。
難易度も高く、司法書士に次いで2番目に合格率が低い資格となっています。

土地家屋調査士試験の試験科目

試験科目は、以下の3種類に分かれています。

  • 筆記試験(午前の部)
  • 筆記試験(午後の部)
  • 口述試験

筆記試験(午前の部)

筆記試験の午前の部は、試験時間が2時間で、平面測量に関する10問と作図に関する1問が出題されます。
平面測量に関する問題は全て測量計算の問題となっており、択一式です。作図に関する問題には、問と作図の設問があります。
ボリュームは午後の部に比べると少なく、時間に余裕をもって解き終わる方がほとんどです。
しかし、土地家屋調査士試験を受けるほぼ全員が、午前の部の免除制度を使っています。なぜなら、午前の部の試験対策ができる参考書が少ないからです。参考書の少ない午前の部の対策に時間を割くよりは、免除制度を使って午後の部の対策に集中する方が良いでしょう。
また、午後の部に備えて試験を免除する方もいます。午前の部・午後の部と続けて試験を行うと1日中試験を受けることになり、体力的にもきついです。そのため、多くの方が午前の部を免除して負担を軽くしています。

筆記試験(午後の部)

筆記試験の午後の部は、試験時間が2時間30分で、択一式問題20問と記述式問題2問が出題されます。
択一式問題の出題範囲は、民法、不動産登記法、土地家屋調査士法となるため幅広いです。
さらに午後の部は試験問題のボリュームも多く、全て解き終わるにはスピードと正確さが求められます。
午後の部に関しては難易度が高いため、数多くの参考書や過去問集などが出されています。

口述試験

口述試験は、筆記試験に合格した場合に受験できます。受験した人のほとんどは合格できるため、口述試験のために特別な対策は必要ありません。
口述試験で問われる内容は、「土地家屋調査士として働くうえでの心構えについて」や「法律の意図や理論についての説明」が多い傾向にあります。

合格率を上げる方法

土地家屋調査士試験の合格率を上げるために最適な方法は、以下の4つです。

  • 勉強の進め方を工夫する
  • 過去問を解く
  • 電卓や定規の使い方に慣れる
  • スクールに通う

勉強の進め方を工夫する

土地家屋調査士の試験勉強を初めて行う方は、まず択一問題の勉強から始めるのがおすすめです。とくに、民法の勉強から始めると良いでしょう。
民法の知識をつけておくと、他の科目の勉強に必要な不動産登記についての勉強も進めやすくなります。民法の知識は、不動産の売買・相続、申請の代理などのルールの前提となっているため、民法を踏まえておくとスムーズに学習可能です。
また、民法は覚える範囲が多く、勉強に時間がかかります。試験直前は不動産登記法の勉強に時間をかけるのがベストなため、先に民法の勉強を済ませておくと安心です。

過去問を解く

土地家屋調査士試験の勉強は、過去問で対策を行うことも重要です。とくに択一問題の対策では、すぐに過去問を用いて繰り返し学習するのがおすすめです。
具体的な方法としては、参考書やテキストで知識を学んだ後すぐに過去問を解きます。こうすることで、学んだ知識が試験でどのように問われるのかを理解できます。再び参考書に戻った際も、どこが重要なのかを把握しながら学習可能です。
過去問を解く際は、近年のものから過去へさかのぼって解いていくようにしましょう。学習がある程度進んだら時間を計って解くようにすると、問題を素早く解く力も鍛えられます。

電卓や定規の使い方に慣れる

電卓や定規を使うことに慣れていない方は、記述式問題を解き始めるまでに練習しておきましょう。記述式問題では電卓や定規を必ず使うため、早めに慣れておくと安心です。
記述式問題は、いきなり過去問を解き始めるのは難易度が高いです。そのため、ある程度知識がついて記述式問題を解くようになるまでは、電卓や定規の扱い方を繰り返し練習しておくのをおすすめします。
電卓は主に、基本的な放射計算、交点計算、点の移動計算で使います。定規は、動かし方の感覚を身につけるために、簡単な作図から始めるとよいです。
電卓や定規の使い方、作図の方法については、知識を頭で覚えるというよりも感覚を体になじませていくことが大事です。繰り返し何度も行うようにしましょう。

スクールに通う

合格率を上げるには、通信講座などのスクールを利用するのも効果的です。スクールでは、講師による詳細な解説や質問ができるサービスなどが受けられます。
独学で勉強する場合に比べると、やはりスクールに通う方法は費用と時間がかかります。しかし、試験で問われる知識への理解度は格段に上がるでしょう。とくに記述式対策は、初学者が独学で学ぶには難易度が高いです。費用対効果の高い、スクールに通うのをおすすめします。独学で学ぶために数多くの参考書を揃えることを考えると、結果的にコストパフォーマンスは良くなるはずです。

土地家屋調査士試験午後の部の難関

土地家屋調査士試験の午後の部は難関とされ、しっかり対策をしないと合格できない試験です。難関だと言われる理由は、以下の3つが挙げられます。

  • 数学的な知識が求められる
  • 試験時間が足りない
  • 専門性が高い

数学的な知識が求められる

午後の部の試験では、記述式の土地の問題が出されます。回答するには、数学的な知識が必要です。
土地の問題では、申請書と図面を作成します。土地の面積、面積、座標など、問題文で出されたヒントをもとに計算し、作成に必要な数値を自分で導き出さなくてはいけません。
土地の問題で必要な計算は、関数電卓を用いて行う少し複雑なものです。極端に難易度の高い問題は出題されませんが、関数電卓を使ったことがないと難しく感じる場合があります。
しかし、電卓や計算に時間をかけて慣れていけば、問題なく行えるようになるでしょう。

試験時間が足りない

午後の部の試験は科目数が多く、計算や作図もあります。しかし試験時間が2時間30分と少ないため、問題が解き終わらない方も多いです。
具体的には、以下のような内容の問題が出題されます。

  • 20問の択一問題
  • 2件の申請書(土地と建物)の作成
  • 座標値や辺長・面積を求める計算
  • 3種類以上の作図

素早く問題を解くスキル、正確に計算や作図を行うスキルも求められるので、初めて学ぶ方には難関です。しかし、参考書やスクールでしっかり対策をすれば問題ありません。

専門性が高い

午後の部の試験で問われる内容は、専門的な知識が多いです。専門の参考書などを使用しないと学べないため、難しいと言われています。
しかし、現在では初学者の方でも学びやすい参考書がたくさんあります。土地家屋調査士試験に強いスクールも数多くありますので、専門性が高い知識にも対策可能です。

土地家屋調査士の試験内容にはしっかり対策を行おう

土地家屋調査士の試験内容について、詳しい科目と対策方法を解説しました。
土地家屋調査士の試験、とくに午後の部は、専門性が高く難しいです。しかし、しっかり対策を行えば問題ありません。
合格率を上げる方法も実践しつつ、土地家屋調査士の試験内容に沿った効果的な対策を行いましょう。

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