ADR認定土地家屋調査士の役割と認定を受けるために必要なこと

土地屋敷調査士として上を目指したいと考えているのであれば「ADR認定土地家屋調査士」になることを検討してみるのがおすすめです。ADR認定土地家屋調査士は、法務大臣により指定された国家資格の研修を受け、認定を受けられた場合に認められます。

ここでは、ADR認定土地家屋調査士を目指したいと考えている方のため、役割やできることについて解説します。認定を受けることにはどのような魅力があるのかなどがわかるため、ぜひ参考にしてください。

ADR認定土地家屋調査士の役割

ADR認定土地家屋調査士の「ADR」とは「Alternative:代替的」「Dispute:紛争」「Resolution:解決」の頭文字を取ったものです。
日本語だと「裁判外紛争解決手続等」と訳されます。

法務大臣によって「民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有する」と認定されるものなので、土地屋敷調査士としての実力をつけ、さらなる活躍が期待できるようになるでしょう。
認定を受けていない土地屋敷調査士以上に、力強く人々をサポートしていくのが役割です。

こちらの記事では土地家屋調査士に向いている人の特長について解説しています。ADR認定土地家屋調査士を目指す前に、まずは特長に当てはまるのか確認してみましょう。
土地家屋調査士に向いている人にはどんな特長があるの?

ADR認定土地家屋調査士ができること

ADR認定土地家屋調査士になると、認定を受けていない土地屋敷調査士と比較してできることが増えます。
土地屋敷調査士は、登記事務手続の代理や調査のほか、測量、筆界確認などを行う仕事です。認定を受けると、これらの業務に加え、弁護士と協働する形で土地境界紛争の調停代理人として関われるようになります
認定を受けることによって、筆界と異なる部分で合意したような所有権界、占有界、越境物の確認などにも対応可能です。

土地の境界などに関するトラブルなどに悩んでいる方は非常に多く、場合によっては紛争にまで発展してしまいます。
ADR認定土地家屋調査士は、全国の土地家屋調査士会が設立している境界問題解決センターに持ち込まれた案件に対し、弁護士とともに取り組めるのが魅力です。問題の早期解決などに力を発揮します。

ADR認定土地家屋調査士になるためには?

実際にADR認定土地家屋調査士を目指したいと考えた場合、何をすれば良いのでしょうか。必要なことや、研修の内容などについて紹介します。

特別研修を受ける

認定を受けるためには、特別研修(法務大臣指定研修)を受ける必要があります。この研修は、土地家屋調査士法第3条第1項第7号及び第8号に規定されている「土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争」に関する業務を行うための能力を得る目的で実施される研修です。

研修では45時間学習し、必要な知識を習得することになります。長時間の学習が必要となりますが、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。研修後、培った能力についての考査が行われ、基準を満たしていると判断された場合に認定が受けられます。

特別研修の概要

ADR認定土地家屋調査士になるための特別研修を受けられるのは、土地家屋調査士会員および土地家屋調査士法第4条に定める土地家屋調査士となる資格を有している方です。

土地家屋調査士会員の場合、受講料は80,000円、有資格者については100,000円となります。ただ、過去に特別研修を受けたものの認定を受けられなかった方については、再考査制度や再受講制度が用意されており、20,000~40,000円まで費用を抑えて再挑戦可能です。そのため、再挑戦しやすい仕組みが作られているといえます。
一定の条件が定められているので、再挑戦する方は確認しておきましょう。

参考:(PDF)日本土地家屋調査士会連合会:ADR民間紛争解決手続代理関係業務法務大臣認定土地家屋調査士になろう![PDF]

研修の内容

研修では、主張立証活動、代理人としての倫理、同代理関係業務を行うのに必要な事項について基礎研修から総合講義まで学んでいくことになります。
例として第18回土地家屋調査士特別研修について、どのようなカリキュラムが組まれているのか紹介しましょう。

実施されるのは、基礎研修が17時間、グルーブ研修が15時間以上、集合研修が10時間、総合講義が3時間、最後にテストとしての考査です。

映像教材を視聴する基礎研修では、以下の講義が行われます。

◆講義の内容

  • 憲法…2時間
  • 民法…3時間
  • 民事訴訟法…4時間
  • ADR代理と専門家責任…2時間
  • ADRの意義と機能…4時間
  • 筆界確定訴訟の実務…2時間

第18回特別研修については、令和5年7月14日(金)から16日(日)に始まり、考査が行われるのは令和5年9月2 日(土)です。参加する方は日程についても事前に確認しておきましょう。

参考:(PDF)日本土地家屋調査士会連合会:ADR民間紛争解決手続代理関係業務法務大臣認定土地家屋調査士になろう![PDF]

ADR認定土地家屋調査士になれば活躍の幅が広がる

いかがだったでしょうか。ADR認定土地家屋調査士について紹介しました。認定されることにより何ができるようになるのか、どういった魅力があるのかなどについてご理解いただけたかと思います。
活躍の幅も広がるので、認定を目指してみてはいかがでしょうか。

当サイトでは、土地屋敷調査士を目指している方に役立つ情報を紹介しています。おすすめの予備校などもぜひ参考にしてください。