土地家屋調査士試験における「不動産登記法」の重要性とは?

土地家屋調査士試験における「不動産登記法」の重要性とは?

土地家屋調査士試験における「不動産登記法」の分野は出題範囲が広く、難易度も高いため、勉強法がわからずにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、不動産登記法の詳細とあわせて、土地家屋調査士試験での不動産登記法の出題傾向や、おすすめの勉強法などを詳しく紹介します。

土地家屋調査士として活動したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

不動産登記法とは

一般的に、建物や土地のことを「不動産」、そして不動産の状況を「登記事項証明書」に記録して、第三者に公示できるようにする制度のことを「不動産登記制度」といいます。

この不動産登記制度、および制度にまつわる事務手続きを定めた法律が「不動産登記法」です。

登記事項証明書に記録されている不動産の情報は以下のとおりです。

【登記事項証明書に記録されている不動産の情報】

  • 不動産の所在
  • 不動産の地番
  • 土地の面積
  • 建物の床面積
  • 不動産の所有者
  • 不動産の債権者
  • 不動産の使用目的

これらの情報が一般に公示されることにより、不動産取引における安全性やスピードが向上します。

不動産登記の種類

不動産登記は「建物表題登記」「所有権保存登記」「所有権移転登記」「抵当権設定登記・抵当権抹消登記」の4種類に分けられます。

以下に、それぞれの登記の特徴を解説します。

建物表題登記(建物の表示登記)

建物を新築した際に、不動産の情報を新たに登録するための申請・手続きを「建物表題登記」もしくは「建物の表示登記」といいます。

不動産の所在や地番、床面積といった物理的状況を記録・公示するものであり、不動産の所有者は建物が完成してから、1か月以内に登記申請をしなければなりません。

もし、建物表題登記を怠った、または申請期限を過ぎた場合は、不動産登記法第164条にもとづき、10万円以下の過料が科されます。

所有権保存登記

「所有権保存登記」とは、不動産の所有者を登録するための申請・手続きのことです。

別途に書類を用意する必要はなく、登記事項証明書の権利部の甲区に所有者の氏名を記載することで、手続きは完了します。

建物表題登記とは異なり、所有権保存登記の申請・手続きは任意です。

ただし、建物を購入する際に住宅ローンを組んでおり、建物や土地に抵当権を設定している場合は、所有権保存登記の手続きが義務化されています。

所有権移転登記

建物の売買や贈与、相続など、不動産の所有者が変わった場合に実施する申請・手続きを「所有権移転登記」といいます。

所有権保存登記と同様に、こちらも別途に書類を用意する必要はなく、登記事項証明書の権利部の甲区に所有者の氏名を記載することで、手続きが完了します。

なお、申請期限は、不動産の所有権を得てから1か月以内です。

抵当権設定登記・抵当権抹消登記

不動産に抵当権を設定する申請・手続きが「抵当権設定登記」です。

抵当権は「金融機関から融資を受けるために不動産を担保にするもの」であるため、ローンを組まずに不動産を購入するのであれば、登記する必要はありません。

なお、この登記は、所有権以外の権利に関する情報が記載される、権利部の「乙区」に記録されます。

また、金融機関へのローンを完済した場合、あるいは建物を売却する場合は、担保にした不動産の抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」の手続き・申請が必要です。

ローンを完済しているにもかかわらず、この手続きを行わないと、登記簿上では「住宅ローンが残っている」と見なされ、信用情報にも影響を与える可能性があります。

土地家屋調査士試験における不動産登記法の分野の割合

ここからは、土地家屋調査士試験における、不動産登記法をはじめとした各分野からの出題割合を紹介します。

試験は100点満点で、解答形式および配点は「択一問題50点(2.5点×20問)」「記述問題50点(25点×2問)」です。

採点方式は、毎年の受験者数に応じて合格点数が変化する「相対評価方式」で、70~80点が合格ラインだとされています。

分野ごとの出題数と解答形式は以下のとおりです。

【土地家屋調査士試験における分野ごとの出題数と解答形式】

出題の分野 出題数 解答形式 配点
不動産登記法 16問 択一 40点
土地家屋調査士法 3問 択一 7.5点
民法 1問 択一 2.5点
土地関連 1問 記述 25点
建物関連 1問 記述 25点

土地家屋調査士試験において、不動産登記法分野からの出題数は22問中16問、配点は100点中40点です。

出題割合がもっとも高いため、試験に合格するためには、不動産登記法を中心とした学習計画を立てる必要があります。

不動産登記法の勉強法

不動産登記法は、複雑な法律関連の分野であることにくわえ、覚えなければならないことも多いため「適切な勉強法がわからない」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

ここからは、土地家屋調査士試験に合格するための、不動産登記法のおすすめの勉強法を紹介します。

ポイント①民法の分野から学習する

法律の基礎である「民法」は、民法分野からも1問出題されている、不動産取引全般に関わりの深い法律です。

不動産登記法をはじめとした、ほかの分野の学習にも応用がきく、いわば土地家屋調査士試験における「土台」ともいえる部分であるため、優先的に勉強することが望ましいです。

具体的な勉強法としては、民法の条文をただ覚えるのではなく、法律が適用される条件や原因、具体例を含めて学習することを意識してみてください。

条文だけを暗記しても、法律が適用される条件を理解できなければ、知識は習得できません。

そのため、テキストや問題集などを参考に「この条文・条項は、どのような場合に適用されるのか」を、具体例まで確認しましょう。

また、民法は、物権・相続・債権・総則・親族などの分野がありますが、土地家屋調査士試験では、債権・総則・親族の分野から出題されることは、ほとんどありません。

ですから、すべての民法の分野を習得しようとせずに、物権・相続に注力して学習すると、効率的に勉強できます。

ポイント②不動産の登記に関連する用語を覚える

不動産登記法では、「地上権」や「債権者代位権」といった、法律や不動産に関する専門用語が頻繁にでてきます。

用語の意味を理解していないまま勉強を進めると、問題文の意味がわからなくなることや、覚え直さなければならない事態に発展することもあります。

不動産登記法の基礎を固めるためにも、勉強中に知らない用語がでてきた場合は、都度意味を確認することを心がけましょう。

ポイント③過去問を解く

不動産登記法の知識を定着させるには、インプットだけではなくアウトプットも重要です。

不動産登記法や民法の知識を勉強したら、過去問を解いてみましょう。

問題を解くことにより知識が定着することはもちろんですが、「勉強したことが活かせた」という経験が、自信につながります。

また、土地家屋調査士試験の過去問だけではなく、同じく不動産登記を業務とする「司法書士試験」の過去問を解くことも、不動産登記法の勉強に役立ちます。

土地家屋調査士試験の過去問を解き終えた方、あるいは不動産登記法や民法の知識をより深めたいとお考えの方は、ぜひ司法書士試験の過去問も解いてみてください。

土地家屋調査士試験の効果的な対策とは

土地家屋調査士試験の問題は難易度が高く、複雑な計算や作図の出題もあるため、独学に不安を感じる方も少なくありません。

もし、独学に限界を感じた方や、要点を押さえて勉強をしたいとお考えの方は、土地家屋調査士に特化した予備校に通うことを検討してみてください。

講師がわかりやすく解説してくれるので、勉強の効率や知識が高まることはもちろんですが、モチベーションの向上にも効果が期待できます。

土地家屋調査士試験において不動産登記法の分野は優先的に勉強しましょう

いかがでしたでしょうか。

土地家屋調査士試験における、不動産登記法の分野の出題数は多く、配点の割合は全体の4割にのぼります。

したがって、不動産登記法を中心とした学習計画を立てなければ、試験に合格することは難しいです。

また、不動産登記法の分野を勉強する際は、法律の基礎である民法もあわせて学習すると、効率よく知識を習得できます。

より効率的に不動産登記法を学びたいのであれば、土地家屋調査士の予備校に通うことを検討してみましょう。

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