試験に合格したからといって、すぐに土地家屋調査士として働けるわけではありません。
活動するためには、業務をおこなう地域の土地家屋調査士会と日本土地調査士連合会への登録が必要です。
この記事では、受験後から土地家屋調査士として働くまでの手順とかかる費用について詳しく解説しています。
スムーズに活躍できるよう、合格後のスケジュールを把握しておきましょう。
Contents
土地家屋調査士として働くまでの道のり
実は土地家屋調査士の資格がなくても、補助者として土地家屋調査士業界で働くことは可能です。しかし、有資格者として不動産登記などの業務を主体的におこなうためには資格の取得と登録手続きが必要となります。
まずは、土地家屋調査士として働くまでの道のりをご紹介します。
試験を突破する
土地家屋調査士として働くためには、まず毎年10月の第三日曜日に筆記でおこなわれる試験を突破する必要があります。筆記試験は、午前の部と午後の部があり、どちらも合格しなければなりません。しかし、測量士か測量士補の資格を持っている方は、午前におこなわれる筆記試験が免除となります。
筆記試験に合格すれば、1月の中旬に実施される口述試験に臨みます。
ちなみに、土地家屋調査士は業界内での経験や学歴、年齢、性別などを問わず受験できますが、実務的で難易度も比較的高いため受験者は4,000人ほどとそれほど多くはないでしょう。
こちらの記事では、土地家屋調査士試験の受験者数を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
土地家屋調査士試験の受験者数は?試験の内容や合格率も紹介
登録手続きを踏む
試験に合格後に、地域の土地家屋調査士会への入会と日本土地家屋調査会連合会に登録する必要があります。入会や登録に必要な書類や費用はあらかじめ準備しておきましょう。
登録に必要な書類やかかる費用の内訳は後程詳しく説明します。
就職する
土地家屋調査士連合会への登録手続きが済めば、有資格者として業務を始めることができるようになります。
土地家屋調査士の資格取得後に働く方法は大きく分けて2つあります。
ひとつは、土地家屋調査士事務所や測量会社、法律事務所などのいわゆる士業事務所への就職と、もう一つは自分で事務所を開業する方法です。
土地家屋調査士は、公平性を保つために企業の社員として働くことを法律で制限されています。そのため、あくまで独立した立場で業務を遂行する必要があります。
土地家屋調査士試験合格後の流れ
合格後の流れは以下の通りです。
2月 | 合否発表 |
2~3月 | 合格証交付 |
3月 | 土地家屋調査士会への入会・登録手続き |
10月頃または翌年2月頃 | 新人研修 |
2月:合否発表
1月の上旬に発表される記述試験の合格者は1月下旬におこなわれる口述試験に進みます。最終的な合格者が発表されるのは2月中旬ごろです。合格すると、合格証交付式にて合格証を受け取ることができます。
2~3月:合格証交付
最終合格者の発表後、合格証が交付されます。郵送ではなく法務局や地方法務局で受け取る形です。そのため、法務局や地方法務局でおこなわれる「合格証交付式」に出席しなければなりません。通常、最終合格者の発表から10日前後で開催され、あらかじめ申し出れば希望する地方の法務局での受け取りも可能です。
3月:土地家屋調査士会への入会・登録手続き
合格証が交付されたら、地域の土地家屋調査士会への入会と、日本土地家屋調査士連合会への登録が必要です。また、地域によって異なりますが、登録には20万円前後の費用がかかります。詳しい手順や費用は後ほど説明しますが、自分が働く地域の土地家屋調査士会を通じて、土地家屋調査士連合会への登録をおこないます。申請書類は土地家屋調査士会へ直接提出します。そのため、地域によっては登録申請が集中することもあるため、書類提出する日時は前もって連絡しておくとよいでしょう。
10月頃または翌年2月頃 :新人研修
土地家屋調査士会への入会と日本土地家屋調査士連合会への登録が済んだら、新人研修会に参加します。
例年6月に3日間のスケジュールでおこなわれていましたが、令和5年度からは登録した時期によって、会場と日程が分けられているようです。
たとえば、令和6年度の新人研修は以下の会場・日程で開催されます。
〈東京会場〉
受講対象:令和6年7月1日までに登録した調査士
日程:令和6年9月29日から2日間
〈大阪会場〉
受講対象:令和6年12月2日までに登録した調査士
日程:令和7年2月16日から2日間
なお新人研修は、土地家屋調査士として必要な技術や倫理観を学び、専門性を高めるために、原則として必ず受講しなければなりません。
土地家屋調査士の登録に必要な書類
日本土地家屋調査士連合会への登録する際は、以下の書類を準備します。
- 土地家屋調査士試験合格証
- 土地家屋調査士登録申請書
- 履歴書
- 身分証明書
- 証明写真4枚
- 誓約書
- 戸籍抄本
- 住民税の写し
- 表札申込書
- 入会届け
- 職印届
地域によって提出する書類が異なるため、実際に登録する際は地域の土地家屋調査士会のホームページなどを確認しましょう。
土地家屋調査士の登録にかかる費用の目安
土地家屋調査士に登録にかかる費用の目安は約15万円~25万円です。
申請書類と同様に地域によってかかる費用は異なりますが、おおよその内訳は以下の通りです。
登録手数料 | 25,000円 |
入会金 | 45,000円~50,000円 |
登録免許税 | 30,000円(収入印紙) |
会館建設負担金 | 50,000~100,000円 |
表札代約 | 20,000円 |
これに新人研修の参加費用28,000円や、地域によって10,000円~17,000円の会費もかかります。開業する方はその資金も必要です。
地域によって多少の差はあるものの、土地家屋調査士として働くためには多くの費用がかかるため、登録申請する際には金額の確認が必要です。
土地家屋調査士の登録手続きのステップ
土地家屋調査士の登録手続きについて詳しく見ていきましょう。
書類の記入
申請書や入会届、履歴書など必要書類に漏れなく記入します。
申請日は実際に提出した日付を記載しなければなりません。実際に提出して不備がないこと確認してもらってから記入するとよいでしょう。
記入が必要な書類は、提出する地域の土地家屋調査士会のホームページから一括でダウンロードできます。
土地家屋調査士会への連絡
必要書類へ記入し終えたら、入会する地域の土地家屋調査士会に申請する予定を申し出るなど、日程を調整しましょう。
事前連絡なしで書類を持っていっても、担当者が不在で提出できない可能性があります。
必要書類や当日の所持品の確認にもなるため、必ず事前に連絡をして出向きましょう。
連絡を待つ
書類の提出と入会金などの支払いを済ませたら、あとは登録が完了するのを待つだけです。
通常10日ほどで登録完了の連絡が入ります。
手続きが完了しただけでは土地家屋調査士として働けません。必ず連絡を待ってから業務を開始しましょう。
土地家屋調査士の進路
土地家屋調査士の資格を取得した後の進路は、主に以下の3つの選択肢に絞られます。
- 土地家屋調査士事務所
- 測量会社
- 独立開業
資格取得後は、土地家屋調査士事務所や測量会社に就職し、経験を積むのが一般的です。
また、すでに土地家屋調査士事務所で補助者として働き、十分に経験がある場合は、独立開業するケースも多いです。
その場合、土地家屋調査士と相性の良いほかの資格の取得を目指すという選択肢もあります。たとえば司法書士とのダブルライセンスは、不動産登記をワンストップでおこなえるようになります。このように自身の価値を高めてから開業するのもよいでしょう。
土地家屋調査士として働くためには登録と諸費用が必要
この記事では土地家屋調査士の試験に合格した後の、入会手続きや登録方法、かかる費用について詳しくお伝えしました。
試験に合格するだけでは、土地家屋調査士の業務をおこなうことはできません。
日本土地家屋調査士連合会への登録が済んでから業務開始となります。登録を申請する際は、事前に連絡を入れておくとスムーズです。
また、新人研修への参加など、多くのステップを踏まなければなりません。
しかし、土地家屋調査士は専門性が高く、この先の安定的な需要が見込まれている将来性のある資格です。
これから土地家屋調査士の資格取得を目指す方には、予備校の利用をおすすめします。当サイトでは、土地家屋調査士に特化した予備校をランキング形式でご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。