土地家屋調査士は合格率が8〜9%台の難しい試験です。令和4年度は受験者数4.404人のうち合格者424人で、合格率は約9.6%でした。
合格のカギとなるのが「択一式」科目で、ここでいかに点を稼ぐかが重要になってきます。
今回の記事では、土地家屋調査士試験択一式を攻略するための効率的な勉強法について解説しています。
多くの合格者が実践してきた方法をもとに、1年間の勉強期間で合格が見えてくる「効果的な勉強の手順」もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
土地家屋調査士試験「択一式」の勉強法は
土地家屋調査士試験の択一式を攻略するには「過去問と問題演習を徹底的にくり返すこと」が最も合格に近づく方法です。
まずは試験の攻略法を知り、自分に合ったテキストをそろえましょう。
20問中18問正答を目指そう
土地家屋調査士試験の択一式は、20問(1問2.5点)で50点満点です。試験は「基準点」が設けられていて、
基準点を越えなければ記述問題の点数がどれだけ良くても不合格になってしまいます。
令和4年度の基準点は37.5点でした。基準点に達するためには、20問の出題の中から16〜18問の正解が必要といわれていますが、余裕を持って18問正答することを目指しましょう。
択一式20問は次のような内訳で出題されます。
「たった2問しか落とせない」とプレッシャーに感じるかもしれませんが、記述で点数を取る方が難易度は高いので、択一式でできる限り多くの点数をかせぎましょう。
基本書の読み込みと過去問の問題演習を徹底
18問正解するには、まずは基本となるテキストを1冊読みこみ、とにかく問題を解きます。
初めはほとんど解けないかもしれませんが、
問題の傾向や出題スタイルを把握することを目的にして、読み進めていくようにしましょう。
基本のテキストで知識をインプットし問題を解き、アウトプットすることで知識は定着します。
問題演習の方法①予備校に入って実践答練を受ける
過去問はただ何となく順番に解いていけばいいというわけではありません。自分でコツコツと問題集を解いていく方法に加え、予備校や通信教育など、土地家屋調査士試験のノウハウを持っているところで模擬試験も受けてみましょう。
予備校が実施している答練(模試)は、過去問をもとに予備校が厳選した問題が出題され、本番と同じ環境で行われます。
土地家屋調査士試験での体験談では本番の試験で「時間が足りなかった」という声が多く聞かれます。答練で模擬試験を体験しておくことで、本番の時間配分や雰囲気に慣れることができるのです。
また、答案の解説や試験のトレンド、対策など、最新の情報を入手できるメリットもあります。
問題演習の方法②オークションサイトなどで問題を手に入れる
土地家屋調査士の過去問は、書店や予備校で販売しているものもありますがボリュームが大きく、推奨されている10年分を準備するには費用がかかります。
8年分を収録したテキストが4,000円前後で販売されていますが、基本テキストも用意しなければならないので少しでも費用負担を減らすには、オークションやフリマサイトを活用するのも一つの手段です。2,000円前後と半額で手に入ります。
テキストは最新版がマストですが、古い年代の物なら中古品でも十分に役割を果たすので、活用してみるのも良いでしょう。
解けなかった問題はアプリにメモして記憶
資格試験の勉強法で過去問を解くことは常識であり必須の方法ですが、有効的に活用するためには「解けなかった問題をどうするか」が重要です。
独自のノートを作り勉強するのも良いですが、ノート型のアプリを使って暗記項目をメモしたり、過去問を解いて間違ったところなどをタスクとして作成し独自のテストにしたりして学習するのもおすすめです。
その他、勉強した時間を記録するもの、集中できる環境をつくるものなど多様なスタディアプリがあるのでぜひ活用してみて下さい。
おすすめの過去問集
過去問は
最低でも10年分を解いておきましょう。「過去問は繰り返し出題される」という法則はどの資格試験にもいえることで、土地家屋調査士の試験にもあてはまります。
法改正に対応し、実力がしっかりつく工夫がされている問題集は次の通りです。
h4:東京法経学院「新・合格データベース」
3,486問の択一式過去問(昭和41~令和4)を最新法令等で修正・解説した1問1答形式の問題集です。改正民法に完全対応しています。
選択肢毎に問題を分ける「肢別式」で、スキマ時間を利用して学習できます。過去問が単元ごとに肢別に並んでいて、何度も出題されている問題は集約されているので、年代ごとに問題を解くよりも効率よく学べる教材です。
「基本テキストで一単元勉強したら、同じ単元の問題を解く」という順序で取り組み、知識の定着をはかりましょう。
東京法経学院「択一過去問マスターⅠ・Ⅱ」
平成元年度~令和4年度までの過去問を収録しています。Ⅰに344問、Ⅱに289問の計633問を収録。法令改正に対応し、昭和年代の重要問題は選別して収録しています。
択一過去問マスターⅠ・Ⅱは「体系別過去問集の決定版」ともいわれている問題集です。過去問を網羅的に収録しているため、幅広い出題範囲に対応しています。
基礎学習が終わった後に過去問演習の前段階として活用することが効果的です。過去問演習に取り組む前に、基礎知識を固めるために使用しましょう。選択肢ごとに問題を分けているため、自分の弱点を把握し、効率的な学習ができます。
日建学院「択一式過去問」
択一式問題過去8年分を項目別に分類し、理解しやすく詳細に解説しています。分野別に問題がまとめられているので自分の弱点を特定しやすい構成です。
日建学院の人気講師・齊木氏が監修し、信頼性の高い一冊で、予備校の講義のような解説とテキストの見やすさが評判です。サイズも小さいので持ち運び用に向いています。
おすすめの勉強の手順
土地家屋調査士の資格試験は、完全独学で合格するには難易度の高い試験です。宅建や行政書士など、他の資格を持っている人なら独学でも合格する可能性はありますが、完全初心者ならば予備校で指導を受けることをおすすめします。
20問中16問出題される「不動産登記法」を勉強するには、民法の知識が必須です。テキストを読み込むにも法律用語に慣れていないと読み進めるのも困難になってきます。
初心者の人ならいきなりテキストに入るより、動画講義を活用して概要や法律用語に慣れていく方法もおすすめです。通勤時間やスキマ時間に流し学習するだけでも効果はあります。
過去問を解く時は「
新しい年度の問題から」取りかかったほうが最近の傾向が分かりやすくなじみやすいのでおすすめです。
先に民法の勉強を
土地家屋調査士の試験問題のベースは民法です。他に資格を持っている人なら過去問学習から取り組んでも良いですが、初めての人は民法の学習から始めましょう。法律に馴染みがない人はベースの知識がないのでいきなり過去問を解いても理解しづらく、効率的に学べません。
民法の学習には土地家屋調査士のテキストと問題演習だけではなく、民法の基礎知識が学べる1冊を用意すると良いでしょう。宅建など他の資格のテキストを活用するのもおすすめです。
民法は設問としては3問しか出題されませんが、
不動産登記法の理解にも関わってくるので基本的な理解は必須です。
試験で頻出な「総則・物権・相続」を中心に学習し、8割型理解できるようになったら債権、親族に取りかかると良いでしょう。
何をいつまでに勉強するかのスケジュールを
試験に合格するには、試験当日までのスケジューリングがかなり重要になってきます。
「1年で合格する」と決めたなら、試験当日から逆算し「何をいつまでに学ぶか」を考え計画します。
以下に「勉強期間を1年と仮定した場合の、4カ月ごとのスケジュール」を紹介しているので、参考にしてみてください。
本試験9~12か月前
初めの4カ月は深く完全に理解するのではなく、問題の傾向を知りサラッと全体を把握する期間にしましょう。1日のスケジュールを民法と基本テキストに分け、並行して学習を進めます。
分からなかったところや間違えた問題はチェックだけしておいて、先に進めることがポイントです。一か所で止まらず、とにかく最後まで読み進めましょう。問題集を1冊購入しテキストで学習したら該当の問題を解く、という方法をくり返し、テキストの内容が本試験でどのように問題にされているのかをつかみます。
本試験5~8か月前
4カ月間は全体像をつかんでいく期間でしたが、5カ月目からは問題を解いた後にテキストに戻り、知識を深めていく期間です。問題を解き間違ったところは都度テキストに戻り、
過去問は、年度ごとに時間を計りながら、模擬試験のような形式で解き、本番の環境に少しずつ近づけていきます。20問中何点取れたかも意識し、現在の実力を把握しながら苦手な箇所を減らしていきましょう。
働きながら学習している人は、自宅やカフェなど集中できる場所では「問題を解く⇒テキストで確認する」をくり返し、通勤時間や休み時間は択一問題集を解いて復習の時間にあてましょう。
本試験1~4か月前
試験まで残り4カ月になった頃には、得意分野と苦手分野が明確になりどこに時間をかけるべきかが分かってきます。この時期になると数回正解になった問題はもう解かないようにして、間違ったところだけをくり返し学習しましょう。
過去問は20問を30〜45分目安に解くように、目標を立てて取り組みます。過去問を何度も解いていると、慣れてきて答えを覚えてしまうところもあるので、改めて問題を最後まで読み、問題を理解してから解答しましょう。
合格に必要な一般的な勉強時間
土地家屋調査士試験に合格するためには
約800〜1500時間の勉強時間が必要といわれています。
平日は2〜3時間、休日に4〜6時間勉強した場合、1年から1年半かかる計算です。働きながら資格取得を目指す場合は、通勤時間やスキマ時間を活用し学習しましょう。
もちろんこの時間は個人差があるので、大切なのは「捻出した時間でいかに効率よく知識を付けられるか」です。独学で勉強している人の中には5年以上時間をかけているがまだ合格していない人もいます。
土地家屋調査士の問題集やテキストは、どれも分厚く資格取得の勉強をしたことがない人には、独学ではどう取り組めばいいのか分からないかもしれません。
特に法律系の知識がない人は始めの取りかかりで挫折しがちなので、予備校や通信教育などを活用し、効率の良い勉強方法を見つけましょう。
択一攻略は反復学習と
土地家屋調査士の択一式は、基準点にどれだけ上乗せして点数を取れるかが重要です。書式で点数を稼ぐのは難易度が高いので、効率よく合格を勝ち取るには択一式で18点を取れるように、目標を定めておきましょう。
独学でも合格する人はいますが、建築関係や法律系に関わったことがない場合かなり難易度が高い試験です。
「1年で効率よく勉強したい」「法律の知識がなく不安」「どのように学習計画を立てたらいいのか分からない」という人は、予備校に通い合格のノウハウを持った環境で学習することをおすすめします。
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