
土地家屋調査士試験には民法をはじめ、さまざまな法律科目が出題されます。
実務では不動産登記法や測量などが重要視されがちですが、民法の理解なしに境界問題や登記実務を正確にこなすことは難しいといわれています。
一方で「民法は範囲が広く、複雑」「条文が多くて暗記が追いつかない」という声も少なくありません。
しかし、民法のエッセンスを押さえておけば、土地家屋調査士試験の得点源にできる可能性が高まります。
本記事では、土地家屋調査士試験における民法の重要性や、学習を進めるうえでのポイント・過去問活用法などを詳しく解説します。
「民法をどう勉強すればいいのか分からない」という方も、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
土地家屋調査士試験の民法の重要性
土地家屋調査士試験において、民法は不動産登記法や測量分野と同じくらい重要な科目の一つです。
それには、いくつかの理由があります。
1つ目は、「不動産関連の登記を扱う士業」として、民法の基礎理解が欠かせないからです。
具体的には、所有権や賃借権、共有物分割などの知識が土地家屋調査士の実務においても必要となる場合があります。
境界問題をはじめとするトラブルを解決するときに、民法の規定を理解しているかどうかで、相談者への説得力が変わる場面があるでしょう。
2つ目は、試験本番においても民法の得点が合否を左右するといわれている点です。
民法だけで合計点が大幅にアップするわけではありませんが、択一・記述のいずれも基礎的な民法の理解が求められるケースが多いです。
特に、「なぜその条文が当てはまるのか」を論理的に説明できるかどうかが合格ラインを超えるカギになり得ます。
3つ目は、宅地建物取引士や司法書士など、他の不動産系資格と一部内容が重なることです。
土地家屋調査士を目指す方の中には、すでに宅建などを取得している方もいるかもしれません。
民法をしっかり理解しておくと、こうした他資格との学習内容を相互に活用できるメリットもあります。
土地家屋調査士試験の民法で点をとるのは難しい?
結論からいうと、民法は範囲が広く条文数も多いため、一から全範囲を網羅的に勉強しようとすると大変です。
しかし、出題される論点はある程度パターン化されているため、最初から「民法は苦手だから捨てる」と考えてしまうのはもったいないでしょう。
土地家屋調査士試験の民法は、他の法律系資格(司法書士など)と比べれば深い論点まで入り込むことは少ないといわれています。
問題形式も択一が中心であり、また出題範囲はある程度限られます。
もちろん理解すべき条文数は多いですが、基本的な制度や仕組み、条文の趣旨を押さえていれば得点できる確率は高まります。
実務に直結する部分(物権変動や所有権、共有関係、占有権限など)が頻出論点になりやすいのも特徴です。
したがって、闇雲にすべての条文を暗記するのではなく、「土地家屋調査士の業務で関わりそうな部分を重点的に学習する」という割り切りが重要と言えるでしょう。
土地家屋調査士試験の民法を勉強するときのポイント
ここからは、土地家屋調査士試験の民法対策を行う際に押さえておきたい4つのポイントを解説します。
効率よく学習を進めることで、限られた時間で民法の基礎力を固め、得点源につなげましょう。
ポイント① 勉強する範囲を絞る
民法は全体で1,000条を超える大きな法律であり、すべてを細部まで暗記するのは現実的ではありません。
土地家屋調査士試験では、頻出の分野がある程度決まっているため、「どの章・どの論点が出やすいのか」を分析し、そこに注力することが大切です。
具体的には、「物権」「債権」「担保物権(特に抵当権)」などが重要となります。
総則や相続も無視できませんが、まずは「土地や建物の所有や使用に直結する部分」を優先的に学ぶことで、試験の得点につながりやすいでしょう。
さらに、市販のテキストや予備校の講義を活用しながら、過去問で頻出度を確かめるのがおすすめです。
たとえば、総則に関して細かい論点まで手を広げるよりも、物権変動や時効、賃貸借など実務に関係しやすい部分に力を入れると効率がよい場合があります。
ポイント② 条文を理解しながらテキストを読む
民法は条文数が多いだけでなく、その文言が抽象的に感じられることもしばしばです。
しかし、テキストの解説だけを読んで理解したつもりになるのではなく、「必ず条文にあたる」という習慣をつけておくと、理解がより深まります。
たとえば、物権変動に関する条文(民法176条など)を読んで、「当事者の意思表示だけで物権は変動するが、第三者に対抗するには登記が必要」などの趣旨を実感として押さえると、登記の必要性やその関係法規が立体的にイメージできるようになります。
テキストの解説を先に読み、分かりにくい部分を条文で確認し、もう一度テキストに戻るという反復スタイルが効果的です。
「条文→解説→再び条文」という往復で、理解がぐっと深まるはずです。
ポイント③ 総則で理解できない箇所はいったん飛ばす
民法の総則は法律全般に関わる基本的なルールを定めていますが、抽象度が高く、初学者にはとっつきにくい部分でもあります。
法人や意思表示、無効・取消といった概念など、「どうしてこれが不動産に直結するの?」と疑問を抱く箇所も多いかもしれません。
その場合は、総則をある程度ざっと読んだら、理解できない部分は一旦スルーして物権や債権など具体性の高い分野に進むのも一つの方法です。
実務により近い分野(物権や債権)を学ぶうちに総則の意義や意味が後から理解しやすくなることもあります。
特に、土地家屋調査士試験では物権変動や共有物分割など、具体的なケースが想定されやすい部分のウェイトが高いです。
総則でつまずいて学習自体がストップしてしまうよりも、一度視点を変えて、実践的な分野から攻めることをおすすめします。
ポイント④ 全体をつかめたら過去問で知識を定着させる
民法の基本的な構造(総則・物権・債権・家族法など)をざっくりと理解したら、早い段階で過去問演習に進むのが効果的です。
条文やテキストの知識をただ覚えるだけでは、実際の問題を解く力につながらないケースがあります。
過去問を解くことで、
- どのような形式で出題されるのか
- 選択肢がどれくらい紛らわしいのか
- どの部分が頻出論点か
といった具体的なイメージが掴めます。
仮に初見では解けなくても構いません。
解答解説を確認し、再度条文を読み返し、テキストに戻るというサイクルを回すことで、一度学習した知識が定着していくでしょう。
土地家屋調査士試験の民法を学ぶときの過去問の活用法
民法は一度テキストを読んだだけでマスターできるほど簡単な科目ではありません。
したがって、過去問を繰り返し解くことで知識を定着させ、応用力を身につけるのが得策です。
ここでは、過去問活用のヒントを2つ紹介します。
試験問題の解き方を意識する
土地家屋調査士試験の民法は、択一での出題が中心になる場合が多いです。
選択肢の中に条文や判例が細かく混ざっているケースもあり、「どの条文に基づいて、どの選択肢が正しい(or誤り)なのか」を素早く見極める力が求められます。
そこで、過去問演習をする際には、
- 問題文と選択肢をざっと読み、設問の意図をつかむ。
- 該当条文や、判例の趣旨を思い出す(もしくはメモを取る)。
- 選択肢が条文や判例と合致するか、論理的に破綻していないかをチェックする。
という解き方を意識すると良いでしょう。
正解だった場合も「なぜ正解と判断したのか」「他の選択肢とどこが違うのか」を明確にしておくと、記憶が定着します。
司法書士試験の民法も解く
土地家屋調査士試験と司法書士試験では、民法の扱い方や深さが異なります。
ただ、両者とも不動産に関する権利関係を取り扱うため、民法の基礎的な部分は重複する論点が多いのも事実です。
もし余裕があれば、司法書士試験の過去問(民法)を参考にするのも有効です。
司法書士試験の問題は難易度がやや高いケースもありますが、土地家屋調査士試験で出題される論点をより深く理解するうえで役立つことがあります。
また、解説が充実した市販の過去問集や解説書を利用することで、苦手分野の克服にもつながりやすいでしょう。
スムーズに民法を攻略し、合格へ近づこう
土地家屋調査士試験を受けるうえで、民法に苦手意識を持つ方は少なくありません。
しかし、民法の出題範囲はある程度絞られており、その理解が土地家屋調査士としての実務にも役立つことを考えれば、しっかりと対策する価値は十分にあります。
まずは物権や債権、相続関連など、土地や建物の登記に直結する分野を優先的に学習し、総則でつまずいたら飛ばすという柔軟なアプローチも検討しましょう。
条文を読んでテキストで補足し、過去問演習で実践力を身につけるというサイクルを繰り返すと、知識が定着しやすくなります。
難易度の高い司法書士試験の民法過去問にチャレンジしてみるのも有効な手段です。
時間や労力はかかりますが、民法は一度基礎を固めれば、試験を突破するだけでなく、土地家屋調査士としての長期的なキャリアにも生きてくる科目です。
独学や通信講座、予備校など自分に合った学習スタイルを選びながら、効率的に民法を攻略し、合格ラインに近づきましょう。
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