土地家屋調査士という職業を知っていますか。
土地やそれに伴う建物の測量を図ったり、図面を描いたり、実際に現場にいき作業を行う仕事です。
とても専門性の高い仕事で、資格自体の歴史も60年以上と古く、業務範囲も多岐にわたるのが特徴。
土地家屋調査士という仕事を知っている方からすれば、キツイのに…などという方もいるでしょう。
そこで本記事では土地家屋調査士の仕事がきついといわれる理由や仕事自体のやりがいについても詳しく紹介していきます。
土地家屋調査士という職業が気になっている方や目指そうか迷っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
土地家屋調査士の仕事がキツイといわれる理由
はじめに本題です。
土地家屋調査士というときつい仕事といわれがちですが、果たしてどうして仕事がキツイといわれてしまうのでしょうか。
その理由について徹底深堀していきます。
仕事環境が過酷になることも
土地家屋調査士の仕事がきついといわれる理由の一つが「仕事環境が過酷になる可能性がある」ということです。
土地家屋調査士の仕事は前述したように図面を描くといった事務作業はあるものの、それ以外にも実際に現場に足を運んで測量したり、周辺調査をしたりしなければなりません。
夏場は照りつける太陽の下で、冬場は凍えるような環境下の中で作業することもあります。
そのようなことを考えると仕事環境が過酷というのも納得ですよね。
また現場の測量となるとその土地の環境によっても、ハードになる可能性があります。
例えば傾斜角度が高い土地や、雑草が生い茂っている場合はかき分けながら作業をします。
若いときであればこなせる業務かもしれませんが、年をとってくると肉体的にも負担が大きくなることは免れません。
そのほかにも、土地家屋調査士の仕事がきついといわれる理由を下記にまとめました。
炎天下の測量もある
前述したように土地家屋調査士は
夏場の炎天下の中でも、現場に行って測量を行う必要があります。
日陰のない土地や整備されていない辺鄙な地であれば、数時間炎天下の中にさらされ続けることになり、体力の消耗も容易に考えられます。
年を重ねれば重ねるほど、体力的に厳しい現場になることは否定できません。
虫刺されがひどい
炎天下の測量に関連しますが、測量や周辺調査は屋外で行います。
特に夏場の虫刺されは、回避できないでしょう。
春から夏にかけては毛虫、夏から秋のはじめごろにかけては蚊に注意が必要です。
もし測量地が草木が生えていて整備されていない場合、草をかき分けながら作業することとなります。そうなると虫の餌食です。
現場が終わるころには手足がかゆくなり、自宅に帰るころにはいろんなところが虫刺されになっているなんてこともあるのです。
新しい機械が扱えない
測量するための計算ソフトや測量する機械は、年々進化してきています。
確実に便利になってきているものの、機械音痴の方やソフト等に疎い方などは新しい機械などをうまく使いこなせない可能性があります。
機械についても慣れていなければ、設定を狂わせてしまったり、そもそも機械が動かなくなってしまったりといったトラブルも発生するのです。
そうなるともう機械などを使わないでやろう…と結局二度手間になるなんてことも。
機械が得意な方が一人でもいればその方に使い方を伝授してもらうのが一番手っ取り早いですが、そのような方がいない場合は大変になることがあるでしょう。
土日の出勤も普通
土地家屋調査士の仕事がきついといわれる理由の一つが「土日の出勤も普通」だということです。
というのも家屋調査士が仕事で関わる人たちは、土日休みの人・平日休みの人のどちらも該当するからです。
測量において境界立会を行う場合は、基本的に土日を希望する方が多く、土地家屋調査士もそれに合わせて土日に立ち会います。
一方不動産業者との契約の打ち合わせなどは、平日に行うことが多いです。
というのも不動産業者は基本的に、土日は働いているからです。
つまり
測量の境界立会などは土日に行い、不動産業者との打ち合わせなどは平日に行うというスケジュール感になり、結果的に土日も普通に働いている環境が生まれます。
土地家屋調査士の方がよくいうのは、仕事とプライベートの境目があまりないといったことです。休日であっても測量地の近くの施設で遊ぶといった事も珍しくありません。
しっかりとオンとオフを分けて働きたい方にとっては、少々窮屈に感じてしまう職種といえるでしょう。
忙しい時期と暇な時期との差が大きい
これは土地家屋調査士に限ったことではないものの、
繫忙期と閑散期の差が激しい職種です。
仕事の波が大きいので忙しいかと思えば、パタッと依頼がこなくなることもあります。
そのため忙しいときは外注やスタッフの増員を検討したいものの、そうではないときも必ずくるのがわかっているので安易に増やすこともできないのです。
また仕事柄外注するとなると責任の部分から懸念点が生まれるので、簡単に人を増やすのが難しいのもきついといわれる理由といえます。
BtoBの仕事が多く報酬を叩かれる
土地家屋調査士の仕事は、不動産業者と建築業者などと企業間で取引きを行います。
一般の消費者と取引きを行うBtoCではないので、
納期が短かったり、報酬が安かったりするのです。
多くの報酬を叩かれる可能性があり、あまり美味しくないと思うかもしれません。
また業者との取引きでは、業界の相場感がおおよそ決まっているのが実情です。
稼ぎたいから高めに設定しようとか、安く請け負ってもらおうと企てるのは難しい業界といえるでしょう。
不動産業者も建築業者も利益を追求するわけですから、土地家屋調査士にはそれなりに働いてもらい、安く使おう、早く納品してもらおうと思うのが普通です。
そのような環境下にいる業種というのも、仕事がきついといわれる所以です。
隣接者との立ち合いがうまくいかない
測量時には境界の確認が欠かせません。
隣接者との立ち会いが必要となりますが、隣接者がどのような人がどうかは実際に会ってみないとわからないものです。
もし神経質な人や境界において少しでも得をしたい人、留守が多く連絡がなかなか取れない人、そもそも空き家になっているなど、どのような人と交渉する人かは運次第。
そのような状況下でも測量のスケジュールは進みますし、隣地との境界の確認もしなければなりません。
納期は決められていますから、業者と隣接者の板挟みになりつつ、仕事を進めなければならないとなると非常にストレスがかかる現場ですよね。
隣接者はもちろん、関係者からのプレッシャーにも耐えつつ働かなければならないのが、きついといわれる仕事の理由です。
景気の現状に左右される
土地家屋調査士の仕事がきついと言われる理由は「景気の現状に左右される」ことです。
住宅や建設は特に景気に左右される事業なので、景気が悪いときは不動産取引そのものが減少するので、土地家屋調査士も仕事を受注しにくくなります。
反対に景気の良いときは、不動産取引や建設も増えるため、スタッフや人員を増員させる必要があるなど、対応方法が180度変化するのです。
景気の現状によって左右される職業といわれています。
独立開業に失敗しやすい
土地家屋調査士は、資格を取得している人だけが仕事をできる「独占業務」なので、独立開業しやすいのが特徴的です。
とはいえ、それは誰にとっても同じ。
飽和状態になりやすい土地家屋調査士は、特に地方になるとそれが顕著です。
独立開業しやすいことは知られていますから、あまり土地家屋調査士としての経験値がないまま開業して結局失敗して閉業ということも珍しくありません。
つまり経験豊富な土地家屋調査士が開業している地域では、なかなか新たに参入しても勝てる見込みは少ないかもしれません。
成功にはプラスαの能力が必要
土地家屋調査士として成功を収めるのであれば、通常業務ができるのはもちろんのこと、プラスαの能力が必要となってきます。
例えば、測量時にドローンを活用することや景気や情勢の変化を追う能力などが挙げられます。
新たな機械を積極的に導入したり、時事問題に敏感になったりすることは、土地家屋調査士としての未来へと直結するからです。
どんなときにも傾向・対策が必要となってきます。
土地家屋調査士として働くメリット
ここからは土地家屋調査士として働く上でのメリットについて解説していきます。
屋外の仕事で気分転換できる
屋外での作業が必須となる土地家屋調査士は、炎天下の中や極寒の中で仕事をしなければならない可能性はあるものの、発想を転換すれば屋外で仕事をすることで気分転換することができます。
デスクワークと屋外の仕事の両方ができるので、適度に体を動かせるので、運動不足になったり、こもりっきりの生活になったりする機会が減ります。
バランスのよい仕事環境ともいえます。
プライベートと両立しやすい
土地家屋調査士の業務範囲は、法務省の管轄エリアのみなので、出張や遠方へ出向くケースはありません。
そのためプライベートと仕事の両立が比較的しやすいのも、土地家屋調査士として働くメリットといえます。
ですが大手企業の事務所に就職した際には、事務所間の全国転勤もありえますので、注意が必要です。
独占業務なので仕事はなくならない
前述したように、土地家屋調査士は資格を持った人のみが働ける「独占業務」です。
そのため、代わりがきかないのが最大のメリット。
独占業務には弁護士や医師、司法書士などが挙げられます。土地家屋調査士もそれらと同様、その道のプロフェッショナルだということがわかるでしょう。
くいっぱぐれることがない安定した職業といえます。
こちらの記事では、独占業務のメリットを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
土地調査家屋士の独占業務の内容とメリット
年収が高く儲かる
土地家屋調査士の年収は、比較的高く儲かります。
平均の年収は20代で400万円程度、年齢が上がるとともに経験値も増え、年収もキャリアもアップ。
50代には年収900万円~1,000万円を超える方もいます。
現場の経験を積んでからは独立開業もできるため、必然的に年収が増える傾向にあるのです。
スキル次第で将来性が広がる
土地家屋調査士はもちろんですが、それに付随する法律の知識も身に着けられれば、さらに将来性が広がります。
法律を絡めた業務は、土地家屋調査士の中でも高度な技術を要するので、ほかの事務所や土地家屋調査士との差別化が図れるのです。
土地家屋調査士というだけでも十分ですが、司法書士等の資格を並立して所持しておけば、権利登記などの業務へと幅が広げられます。
きついけどやりがいのある仕事
土地家屋調査士という仕事はきついといわれがちですが、実はやりがいがある仕事なのです。
具体的にどのようにやりがいがあるのかについて解説します。
依頼主から感謝される
土地家屋調査士はきつい仕事といわれていますが、依頼主から感謝される仕事です。
境界が決まり、依頼主から感謝の言葉を投げかけられたときは嬉しい気持ちになります。
また大変な仕事ではあるからこそ、労いの言葉は土地家屋調査士をやってよかったと思える瞬間です。
古い図面を頼りに境界標を見つけたとき
土地家屋調査士の詳しい業務内容になりますが、古い図面を頼りに境界標を見つけたときは、やりがいにつながります。
そのように言う土地家屋調査士は多いようです。実際になってみないとわからないポイントかもしれません。
法務局や役所に図面が残る
境界が決まると法務局や役所に「地積測量図」というものが残ります。
自分の携わった仕事が目に見える形で残り続けるのは、やりがいにつながります。
土地家屋調査士の仕事はきついがやりがいがある
土地家屋調査士の仕事はきついといわれがちですが、果たして本当にそうなのかについてご紹介してきました。
たしかに土地家屋調査士の仕事は、決して楽とはいえないかもしれません。
屋外の仕事もデスクワークも両方ありますから、大変です。
しかしながら考え方を変えれば、屋外の仕事もデスクワークも両方できますし、きつい中にも大きなやりがいがあるのも本当。
土地家屋調査士の仕事にしか感じられないやりがいを見つけながら業務をしていきましょう。
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